活動レポート

視察報告 ②岩手県大槌町 小中一貫教育「ふるさと科」について

[2015-11-26]

 今月始めの視察の報告、続きが遅くなりました。
 翌日は大槌町へ。最大22メートルという大津波に襲われた市街地はほぼすべてが被災。町長や職員はじめ800名以上の方々が命を失い、今だ475名の方々が行方不明という現状には言葉を失います。
 その甚大な被害を目の当たりにした子どもたちの心の復興と健やかな育ち、防災教育の取り組み「ふるさと科」を視察してまいりました。(写真中央が佐々木議会事務局長、その右が松橋学務課長です)

 現在の町役場は少しだけ高台にある旧大槌小学校の校舎(ここにも3メートルの津波が)に移転していました。迎えてくれたのは東久留米市から派遣の井組職員(下の写真)。産業振興部で元気に働いている様子、よかったです!
 
 歓迎の挨拶をして下さった小松議長は、消防団として警戒中に被災、流され屋根につかまり九死に一生を得たものの、奥様とお嬢様を失われました。どれほどのご苦労がおありだったのか、言葉がありませんでした。
 
 議会事務局長の佐々木さんは、大槌町の湧水に生息する希少な淡水魚イトヨの研究をされており、平成22年に本市で開催された湧水フォーラムにも前年開催地の代表としていらしたとのこと。わが市とはご縁のある方でした(ちなみに津波により絶滅が心配されたイトヨは湧水だまりの中にちゃんと生きていたとのこと)。佐々木さんご自身も自宅を流され、多くの同僚を失われた被災者です。 



 大槌町では震災後、5つの小学校を再編、2校の中学校と統合し「大槌学園」「吉里吉里小中学校」として25年度から小中一貫教育を本格実施しています。
 一貫教育の柱となる「ふるさと科」は、大槌町独自の文科省認可の正式科目です。
 ふるさと科を立ち上げたねらいは、復興・防災を基盤とした「生きる力」及び「ふるさと創生」を推進し、地域や自分の生き方をみつめ、大槌町の復興・発展を担いうる人材を育成するというもの。学校・保護者・地域が一体となり連携・協働しながら、
①各中学校区における地域の特色を生かした学び、
②生き方、進路指導を充実させ将来の夢や希望をはぐくむ学び 
③防災教育を中心とした、命の大切さを見つめ、主体的に判断し行動する学び 
の3つを柱に、発達に応じたプログラムで子どもたちを育くむ取り組みをされています。町内唯一の大槌高校も含めた小中高での連携も行なわれ、学力向上にも徐々に効果を上げているとのこと。

 ご説明下さった学務課長の松橋先生は、昨年まで大槌学園の副校長。遠く関西方面まで視察に行かれ、大槌町らしい小中一貫のプログラムを作り上げられたそうです。
 ふるさと科の取り組みが町民にも浸透し協力を得ており、この日もふるさと科の授業で、子どもたちが漁港で鼻曲り鮭(大槌町特産)の新巻鮭作りを体験する、とのお話もありました。
 
 気がかりなお話も。子どもたちの様子として、震災後は意外なほど元気であったものの、今になって心身ともに体調を崩す子どもがみられるとのこと。ボランテイアの方々が町に入られて様々な取り組みもされていますが、子どもたちに寄り添う支援が必要なことを痛感しました。

 ふるさと科の視察を終えた後、ボランテイアにより運営されている子どもたちの居場所「子ども夢ハウスおおつち」へ(後日、記します)。その後、佐々木さんが町を案内して下さいました。
 いたるところにダンプカーが行きかい、ブルドーザーやショベルカーにより道路建設や盛り土の工事も進み、復興の足音を実感しました。
 しかし、48か所の仮設住宅はまだ残り、地域の要望に応じた復興の在り方には様々な課題もあるようでした。
 国が提案し町が選択した14.5メートルの防潮堤建設と盛り土、果たして今度大津波が来た時に命が守れるのか、との声もあると伺いました。
 また、残された旧町役場は震災遺構として保存の方向で検討されているとのことですが、人々の思いは様々・・ 周りは盛り土されるため、上から見下ろす形になることを懸念する声もあるとのことでした。
 
 最後に、町の方々や子どもたちが避難し津波の被害を目の当たりにした高台から、街の様子を見つめました。今は静かな青い海・・・
 どうか、子どもたちが健やかに、町の皆さんがお元気で、一日も早い復興を、と願わずにはいられませんでした。



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