議会報告

6月議会:<討論>地区図書館への指定管理者制度導入について

[2012-07-22]

 6月議会文教委員会で、25年度より、3館の地区図書館に指定管理者制度を導入するための条例改正が審議され、最終日に可決。
 私は賛成の立場から討論を行いました。以下、要約しながら掲載します。
(写真は条例審査の調査のため、5月に文教委員会で視察に伺った立川市錦図書館)
 
 図書館への指定管理者制度導入には、なじまないなどのご意見があることも承知していますが、法的には根拠はなく、全国では300を超える図書館にすでに民間委託が導入されています。
 特に財政的には豊かな東京23区で、計223館のうち、8割を超える182館が民間委託を導入していることからも、単に財政面からの理由だけではなく、多様な市民ニーズを的確に捉え、従来の図書館にはなかったサービスを生み出すことで、利用者増につなげていることなどが挙げられます。

 今回の条例改正を審議するための調査として、文教委員会は5名の委員全員で、立川市の錦図書館を訪問。2館の地区図書館に指定管理者制度が導入された経緯や、導入後の状況を、市教育長・図書館長から直接ご説明頂きました。 
 立川市教育委員会作成の「試行導入の検証結果」によれば、立川市図書館としての基幹業務が確実に実施されていること、開館時間の延長や開館日の拡大が図られ親切丁寧な応対や新たな事業の実施などにより、利用者サービスの向上が図られてきた、とありました。
 導入数ヶ月後には、貸出冊数、利用者数が毎月10%の伸びを示すようになり、直営時の21年度と委託後の23年度との比較では、貸出冊数・利用者数ともに幸図書館で25%程度、錦図書館が15%程度の伸びを示しているなど、利用状況は概ね順調に推移しているとのことでした。
 また、司書資格を保有する従事者は、市の要求水準書の「50%以上」という条件を大きく上回り77.8%となっているとのことでした。また事業者の研修体制についても、常にスキルアップできる仕組みを整えていること、また直営時からボランテイアにより行われてきた「おはなし会」などの事業は、引き続きボランテイア団体との共催により実施され、連携も図られていることなどが記載されていました。
 
 さらに私が特筆すべきこととして注目したのが、地域の学校との連携です。
 学校へ出向いての利用案内や、社会科見学や職場体験の受け入れも実施。23年度からは、学校と図書館を巡回する定期便の運行を、直営時は1学期に1回であったものを月2回にしたことにより、小学校の中には、22年度の貸出冊数が286冊であったものが、23年度は2765冊、10倍以上に増加している学校もあり、子どもたちが本に親しむ取り組みをさらに推進し、学校側の団体貸出の利便性も非常に高まったことが報告されていました。
 さらに、立川市図書館の指定管理者は、小中学生の調べ学習の推進などにも力を入れています。専用のコーナーを設け書籍の数を充実させたり、立川市と共催で調べ学習コンクールの取り組みも計画されているそうです。
 またモニタリングについても、総合評価は高く、利用者満足度調査においても週1回以上利用する人の約8割が「サービスが向上した」「接客態度に満足」と答え、ほとんどの項目で高い評価を得ていました。
 
 るるご説明を受けた後、「それでもあえて問題点があるとすればどんなところでしょうか」と委員の一人が質問しました。それに対し、立川市図書館長は、「あえて言うなら、直営とのサービス格差が生まれたことでしょうか」と答えられました。
 もちろん、我が市が同じ事業者になるとは限りませんが、このようなサービスが効果的に実現できるのであれば、地区館に指定管理者制度を導入しても、まったく問題はないと考えます。
 多摩地域には民間委託の導入は進んでいないとの指摘もありますが、立川市が22年6月から、武蔵野市は23年度からの導入です。むしろ多摩地域の図書館に、民間活力の導入が広がっていくのはこれからであると推察されるものです。

 折しも昨晩の報道番組で、佐賀県武雄市が、図書館運営を株式会社TSUTAYA(ツタヤ)が運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブに委託した経緯が紹介されていました。
 武雄市長は、公立図書館を「休みすぎだ」と言い切り、市長自らが事業者に出向いて会談、交渉をされたそうです。
 委託によって現在午前10時―午後6時までの開館時間を、午前9時―午後9時に拡大。年間約30日の休館日を無くし、年中無休とするとのこと。議会に対しても市長自らがパワーポイント等を使って委託の効果を説明されていました。
 もちろん賛否両論はあると思います。しかし武雄市長はこう言い切りました。「経費を削減しながらサービス向上を目指す。既得権益に切り込む、市民の価値が上がるものは躊躇なく行なう。これらの評価は市民が選挙で判断する。」と。この姿勢に、馬場市長も是非学んで欲しいと思います。
 以上、本議案に賛成の理由とさせていただきます。



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