議会報告

平成21年度予算賛成討論

[2009-03-26]

<会派を代表し、3月議会最終日に、一般会計予算、5特別会計予算に賛成の討論を行ないました。以下に掲載します>

 21年度予算については、今議会において、施政方針と総括代表質問、また予算特別委員会において、さまざまに議論が行なわれてまいりました。
その中で、特に私が印象的だったのが、施政方針の中でも述べられていた野崎市長就任以来7年間の行財政改革への取り組みと、その成果です。
 市長は財政危機宣言当時について、このように述べられています。
①経常的事業にも財政調整基金を投入せざるを得ない経常赤字体質からの脱却と、併せて財政ストックの改善を目標に掲げたこと。
②右肩上がりの時代に肥大した、行政が直接になう守備範囲を、公から民へとサービスの担い手を移し、その成果により行政サービスの拡充を担っていくことを行財政改革の理念として取り組むこと。 
 その具体的な実践として、改革例示7項目を掲げ、取り組んできた経過と、その成果について述べられております。それらの取り組みがどれほどの効果をもたらしてきたのか、ここで改めて検証と評価をさせて頂きたいと思います。
 
 1つめには、国民健康保険の改革についてです。
本来、独立採算を基本とする特別会計ですが、国保会計は、多額の赤字繰入金によって支えられている状況にあり、一般会計からの繰入額が、平成14年度には12億5千万円という信じがたい金額に達していました。
このままではさらなる社会保障費の増大と共に、赤字繰入額も膨れ上がり、一般会計もろとも立ち行かなくなることから、16年度より応能・応益割合を国基準に改め、交付金の増額を図りました。
この成果は18年度にはっきりと現れました。赤字繰り入れは5億7千万円まで減らすことが出来、国基準に認められた軽減策によって、保険料を安く設定することもできました。もしこの改革を行なっていなかったら、あと21億円が余分にかかるところでした。いま、これを他の施策に回すことができているのです。この改革を一貫して支持してきた私たち公明党は、これを野崎市政での最も大きい行財政改革の成果と評価するものです。
 2つめには、出張所を地域連絡所と改め、諸証明発行・公金収納に業務を絞ることにより、それまで3出張所にそれぞれ配置していた正規職員を、再任用職員のみとしたことから、大幅に運営費の節減を図ることが出来ました。
これによって市民の方が大きく不便を生じる事態は起こらなかったと伺っております。
 また「市立幼稚園の抜本的な見直し」も行ないました。
「市立幼稚園の補完的役割はその使命を終えており廃園することが望ましい」とする、幼児教育対策協議会の答申を受け、本年3月末をもって、3園を閉園。一方で、18年からの子ども家庭支援センター開設、さらに22年からの2ヶ所目となる上の原子育てひろばの設置、など、市内のより多くの子どもたちと家庭のための、支援を行なう新たな事業を推進しています。これも、様々なご意見のある中、市長が断固たる決意で、市内の幼児教育を公から民に担い手を移し、その成果を、より多くの市民への行政サービスの拡充へ振り向けた成果のあらわれと評価するものです。
 さらに「公立保育園の民営化方式への転換」と「学童保育所・児童館のサービス提供体制の転換」という、公から民へ思い切った発想の転換を行ないました。
 女性の就業意欲の高まりと経済状況、また団塊世代の大量退職期に入り、企業側が、М字カーブと呼ばれる30代女性を経験豊かな労働力として求める近年の動きから、保育環境の整備、拡充は喫緊の課題となっています。
 しかし、公務員が担う公立保育園の運営は、法改正などもあり、自治体負担が増加する一方でした。様々な保育ニーズに対応しながら、限られた財源をより多くの保護者や子供たちに振り向けていくため、保育士の定年退職期にあわせ、民間による運営方式へ転換を図ったことは、増大する負担に歯止めをかけたといえるでしょう。そしてこれにより受け入れ定員の増員、また延長保育や一時保育など、新たな保育メニューの選択肢の幅が広がり、保育サービスの拡充を図ることが出来ています。
 また、学童保育所も職員の嘱託化により、運営費の抑制が図られました。
児童館についても、「子どもセンターひばり」の運営に、指定管理者制度を導入したことから、開館時間の延長や、開館日も増え、中高生の居場所作りという課題に改善を図ることもできました。
18年度からはスポーツセンターも指定管理者に運営を委ねることで、夜11時までの利用が可能となり、2年間で8万人も利用者を増やしました。これらも民間活力を導入したことにより、財政面とサービス拡充の両方に効果をもたらすことができた一例ではないでしょうか。
 さらには「人事給与制度の整備」にも着手しました。
独自の給料表で大変高い給与水準を維持してきた我が市の給与体系を、平成17年度から東京都給料表へ移行するという、それまでの制度にざっくりメスを入れた改革でした。さらに公から民へ、行政の守備範囲を見直したことで、職員の削減と定員適正化計画の推進を図っています。野崎市長が就任してから削減できた職員数は22年度までに211名に昇ります。これによる財政効果も数十億円という大変大きなものとなっています。         
 さらに、前市政からの積み残しの課題の解決、3事業の推進もおこないました。厳しい財政の中、民間活力の導入で、運営費を当初の計画の10億から、2億に抑え、30年来の課題であった中学校給食を実現したこと、また、手狭になった保健センターを、建て替えなら十数億かかるところを、旧滝山小学校の利活用により、大幅に経費をおさえて「わくわく健康プラザ」として開設できたこと、また福祉会館や市民生活館の機能を移行しながら、中央町地区センターを旧市役所跡地に新設できたこと。これらは、従来の考えを脱し、新しい発想によるさまざまな工夫で、財源を大きく節約しながら、課題の解消を図ることができた成果です。すべてに果敢に挑み、きっちりと結果を出してきたのです。
 これら7つの例示項目のほかに、とまっていた学校規模適正化の推進、長年の懸案だった消防事務委託、特養や老人保健施設を公費負担なしで誘導、行政センター用地取得の13億6800万円の元金完済など、それまで滞っていた、しかし、やらなければならなかった数々の課題に、私たち公明党も市長を支え、真正面から取り組み、解決への道筋を開いてきました。これによって東久留米市はどれほど救われたでしょうか。沢田議員の総括代表質問に対する答弁で、歳出総額を14年度と19年度で比較すると、約10億の増加となっていながら、厳しい中でも財政運営ができるのは、早期に行革に着手した効果であると答弁されています。これらの改革が行なわれていなかったら、今頃どのようになっていたのでしょうか。想像に固くありません。
 それに対し、野党の方々は、これら改革の取り組みのほとんどに、反対を唱えてきました。しかし結果は歴然です。現実を直視し、改革の成果を認めるべきだと考えます。

 さて、21年度の一般会計予算規模は、341億6400万円、対前年度比4億9300万円増加の拡大予算となっています。昨今の経済状況などの要因から、個人・法人市民税の減少が見込まれる中ですが、全庁的課題である消防事務委託・保育園民営化などの行財政改革への取り組みは先送りせず、臨時的経費として2億9400万の円の財調を充当し、予算を確保しました。
一方、妊婦検診や義務教育医療費無料化、学校耐震化、都市計画道路整備なども、国や都の補助制度を積極的に活用しながら、拡充をはかりました。臨時財政対策債を限度額まで借り入れたという不安材料もありますが、不透明な経済情勢においても、行革に着実に取り組みながら、地域の安全安心、子育て支援にはきっちりと予算を取り、懸案事項の解決を図っています。我が会派はこの予算を、先行投資型、積極的予算と評価したいと思っております。
ここで、今回の予算編成における歳出について何点か意見を申し上げたいと思います。

 まずはじめに人件費の削減について申し上げます。
東京都給与表に準拠し、職員給与の改定を行なったことで、1億9千万円もの予算を削減できたことを評価いたします。さらに、暫定表の撤廃などをおこなって、東京都給与表に一刻も早い完全準拠が出来るよう、関係団体との協議を、積極的に進めていただきたいと要望します。
また18年度から22年度までに107名の削減目標を掲げて、定員適正化計画に取り組んできましたが、昨年クリアすることが出来なかった1名もふくめて、今年度は目標を達成することが出来たことを評価します。一方で、事務事業の方向性一覧に示されたアウトソーシング53項目のうち、来年度は「下水道汚水施設検査業務」と「自転車等駐車場利用者登録管理業務および戸籍事務システム関係業務」が決定しました。一定の評価は致しますが、残りのアウトソーシングについては、いつまでに、どれをやるのか、具体的な時期を決め、着実に取り組むべきと考えます。アウトソーシングの進展がなければ、職員定数は名目上削減できているとしても、実際には仕事の量が減らないため、臨時職員の配置が必要となり、これらの人件費である物件費が6億8千万円かかっているという現状もあります。密接な関係にある行政の守備範囲の明確化とアウトソーシングの時期、そして、それに伴って定員適正化に基づく削減を着実に推進していくことを要望いたします。
 次に子育て支援の拡充について申し上げます。
国の第2次補正予算に盛り込まれた国庫補助の制度を活用し、妊婦健診公費助成14回分の予算が計上されました。昨年度には2回分だったことを考えると、夢のような大前進です。
 また、私が繰り返し求めてきた「里帰り等妊婦健診助成」が、東久留米市独自の制度として、今年1月からスタートしました。これにより、市内のすべての妊婦の方々が、全国どこで健診を受けても、14回の公費助成が受けられるようになったことを、大いに評価いたします。
 また、一昨年より始まった義務教育就学児医療費助成についても、都の補助制度を取り入れ、拡充を図ったことを評価いたします。
 さらに、乳幼児医療費助成所得制限撤廃は、市独自の取り組みですが、平成14年、野崎市長が就任して以来、厳しい財政状況の中でも毎年1歩1歩進め、21年度に、ようやくすべての乳幼児が、受けられるようになったことも高く評価いたします。

 次に、保育園の民営化について申し上げます。
「仮称堂坂保育園」と併設の「上の原子育てひろば」の22年4月からの開設に伴う建設工事の予算が計上されました。現上の原保育園との3年間並立については、保護者への配慮という点から評価したいと思います。さらに26年4月から「みなみ保育園」が南町都営の立て替え計画に伴い民営化が決まっておりますが、その後の民営化スケジュールについても、用地確保に目途がついた順に進めるなど、積極的な取り組みを行なっていただくことを要望いたします。
民営化が保育士の退職のスピードに追いつかず、毎年、新たに保育士を採用しているという現状もあります。保護者の理解を得ていく時間も確かに必要ではありますが、増え続ける待機児の解消を図っていくためにも、積極的に進めていくべきであると要望いたします。

 次に、消防事務委託についてです。
22年度4月からの東京都への事務委託開始にむけ、21年度は、本格的に準備が進められることになっております。委託によって、今まで以上の近隣自治体との連携強化により、消防力のアップは確実に図れると思いますし、大規模災害への対応力の強化も図っていけると思います。消防費の前年度比約50%増については、消防庁舎等整備工事、無線デジタル化、通信システム導入に関する経費であり、委託に必要不可欠なものと認識しております。
今後は、「広域消防運営計画」の作成、消防職員への個人的なヒアリングの実施等、重要な課題に着実に取り組んでいただきたいと思います。消防事務委託は、東久留米11万5千市民のさらなる安全・安心を図る重要な施策であり、施政方針にもある通り、最大の行財政改革であるということに全く同感です。
全力で取り組んでいただくよう、要望いたします。

 次に、都市計画道路の整備について意見を申し上げます。
東久留米市の将来像を考えたとき、その骨格となる都市計画道路の整備は必要不可欠なものと考えます。都市計画道路を整備することにより、狭い歩道の解消や、市道に車が入り込み危険な状態を、改善できる効果もあり、多くの市民が期待している事業の1つです。
今回の整備で市が活用する、新みちづくりまちづくりパートナー事業は、「地域レベルでの生活環境の改善に効果のある都道の整備」を、事業目標に掲げ、補助対象路線の条件を満たしたものに、用地・補償にかかわる費用を都が負担します。
東久留米市では3・4・5号線と3・4・19号線がこの事業の条件を満たしたものとして補助が決定しました。3・4・5号線の場合、事業費の91%が東京都の負担となります。またみちまち事業から継続の3・4・19号線でも70%以上を都が負担して整備できることになりました。新みちまち以外の110号線や3・4・20号線についても、50%以上の国や都の補助制度が受けられる予定です。これによって交通混雑の緩和、歩行者の安全、利便性の向上が図られ、市のさらなる発展が期待できることから、私たち公明党は、制度を活用しての今回の整備には賛成いたします。

 次に公民館の今後のあり方について申し上げます。
中央公民館の今後のあり方については、平成17年9月から議論が始められてきたと伺っております。今回の条例提案が拙速であるとの意見もありましたが、これまで何回も協議を重ねてきた経緯があったことは予特での答弁で伺っているとおりだと考えます。
今回の条例改正は、市民がいつでも、だれでも、利用しやすい施設とすることを目指し、社会教育法の網を取り外し、個々のニーズに対応した学習機会の提供等を図っていくことと理解しております。そのために、生涯学習センターとする条例提案には賛成であり、その運営に関して、指定管理者制度を導入する方向性についても、民間活力の導入を進める立場から賛成いたします。
これによって、ホールなどが様々な企画や工夫でもっと活用され、より多くの市民の集える場となることを期待いたします。
以上の意見を申し述べ、平成21年度一般会計予算に賛成いたします。


 次に、議案第26号、平成21年度東久留米市国民健康保険特別会計予算、についてです。議案第16号の討論でも申し述べたとおり、21年度からの税率改定は、通年算定とし、これ以上赤字繰入額を増やさないためにも、どうしても必要であったと考えます。この改定を行なっても近隣五市の中では、軽減策の効果で、最も低い保険料レベルを維持できました。
また、先ほども申し上げましたが、平成16年からの改革で、少なく見積もっても19年度までに約21億円以上が節約できたことが、予算特別委員会の質疑で明らかになりました。これは大変な金額です。
重ねて言いますが、もしこれを行なっていなかったら、今頃どれほど財政圧迫の要因になっていたでしょうか。いま、近隣他市が10数億円の赤字繰り入れをしなければならない中で、我が市はその財源を他の施策に充てることが出来るのです。当初、負担増だと反対する会派が多かった中で、私たち公明党は一貫してこの改革を支持してきました。その成果であると自負をするものです。
ここ数年国保会計は、高齢化による医療費の伸びなどが主な要因となり、毎年7%以上の予算規模の上昇を続けてきました。20年度からの医療制度改革で、75歳以上の1万人の方々が新制度へ移られたことから、私は予算規模や赤字繰入額が大幅に減らせるのではないかと予測していました。しかし、21年度予算でも3,2%の伸びとなっており、繰入額も4億9千万を計上しています。社会保障費の増大する中、厳しい運営であることに変わりはありません。しかし我が市の担当課は、他市の追随を許さない能力と、積み重ねてきた経験があります。引き続き健全経営に近づける努力をお願いし、本特別会計予算に賛成いたします。

 次に、議案第27号、平成21年度東久留米市後期高齢者医療特別会計予算、についてです。今年度からスタートした、後期高齢者医療制度には、さまざまなご意見や議論がありましたが、高齢化社会が進んでも、安心して医療を受け続けることのできる安定した財源の確保のためにも必要な制度であると考えています。高齢化は急速に進んでいます。東久留米市でも約22%、場所によっては47%です。現役世代の急激な負担増に繋がらないためにも今、手を打つことが必要だったと思います。しかし、この制度によって、加入者が医療を受ける上で何ら不利益を生じることはないと考えます。
また、制度の課題であった葬祭費については、市が一般会計から支給をしています。健診料500円を無料にすることを求める請願についても厚生委員会で議論がありましたが、もともと健診料は1000円を負担して頂いていたものであり、広域連合の補助があっても残りの数千円は一財からの支出となります。今後も対象の方々が増え続ける中で、一部負担をお願いすることはやむをえないと考えます。
以上の理由から、本特別会計予算に賛成いたします。

 議案第28号、平成21年度東久留米市老人保険特別会計予算については、制度改革に伴い清算段階に入っており、特に意見を付すことなく賛成いたします。

 次に議案第29号、平成21年度東久留米市介護保険特別会計予算についてですが、21年度から23年度の第4期の保険料について、基金を約4億9千万円投入し、基準額である第4段階の保険料を3750円から3600円に引き下げることが出来ました。基金の残高が少ないことには少々不安も感じておりますが、介護保険運営協議会の判断であり、適切な保険料額を定めていただいたと評価し、本特別会計予算に賛成いたします。

 最後に、議案第30号、平成21年度東久留米市下水道事業特別会計予算についてですが、昨年に引き続き「公的資金保証金免除繰上げ償還制度」を活用し、合計3回の借り換えによる繰り上げ償還を行なったことを評価します。
 21年度下水道事業特別会計の対前年度比は、8億4697万円22,2%の減となりました。これは、まさに繰り上げ償還の効果が大きな要因です。昨年も申し上げましたが、この制度は、公明党の沢雄二参議院議員が、参院総務委員会で必要性を粘り強く訴え、実現したものです。3回の繰上げ償還による財政効果は、約10億円となり、公明党の実績を東久留米市で役立てて頂いた結果であると自負をしております。以上の理由から、本特別会計予算に賛成いたします。
 以上、予算に対する賛成の討論とさせていただきます。



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